本日、一年生の保護者集会(選択科目説明会)で『社会で役立つ力』というお話しをしました。社会で役立つのは単なる学力だけではありません。私はこれまで民間企業での勤務を通じ数多くの方とお会いして来ましたが、社会で活躍されている方には共通点があります。これらの方はほとんど例外なく、明るくて素直な性格、プラス思考、前向きで積極的な行動、感謝や思いやりといった豊かな人間性、そして何よりも大切な確固たる志≠有しておられます。そして、ほとんどの方が筆舌に尽くしがたい苦労をしてきておられます。
私達はその人の今日の姿に目を奪われがちですが、過去幾多の困難にじつと耐え血の滲むような努力を傾注されてきたことはあまり知らないことが多いようです。これからも学校においては家庭、社会と力を合わせて学力を身につけさせると共に“豊かな人間性”と自分なりの夢を持ちその実現のために努力していくという “しっかりとした志”を持つ生徒達を育てていきたいと思っています。
23 | 2002年10月12日(土) | 270名の体験入学 |
本日、中学3年生を対象とした第1回のオープンスクールを開催しました。吹奏楽部員によるオープニング・セレモニーに始まり、校長、生徒会長の挨拶の後、芦間高校の特色や取り組み内容について説明をおこないました。嬉しかったのは、今回の開催にあたり、休日にもかかわらず実に70名の生徒達が自主的に手伝ってくれたことです。受付や会場準備だけではなく、学校紹介の際には、生徒による司会のもと自分達で作ったパワーポイントで学校行事や授業、クラブ活動等の説明をしてくれました。あまりに見事な出来ばえを目の当たりにし、子供達のITスキルの向上のスピードに驚くと共に“自分達の学校を自分達で作っていく”という気持が出てきたことは何よりも力強い限りです。
全体説明の後、芦間、守口、守口北3校の先生方による17にわたる授業を体験していただき無事終了しました。回収した参加者からのアンケートを見ても好意的な回答が多かったようです。第2回目のオープンスクールは約1ヶ月後の11月16日に開催されますが、今回以上に充実したものにしていきたいと思っています。
24 | 2002年10月19日(土) | 半年後の自分への手紙 |
期待に胸をふくらませて高校に入学して、はや6か月。芦間高校(総合学科)には大阪府下全域の数多くの中学校から生徒が集まってきています。そのため、生徒間の交流を深め早く学校に慣れてもらうために、入学直後に宿泊研修を実施しました。そして、研修後最初のホームルームで全員に『半年後の自分への手紙』を書いてもらいました。その手紙を今週子ども達に開封させ読んでもらいました。「半年前の自分」から「現在の自分」にあてた手紙です。 ほぼ入学当初に考えていた高校生活を遅れている人、必ずしも思いどおりになっていない人、それぞれですが一人ひとりがこの半年間の高校生活を振り返り、再び感想文を書くことによって自分自身を見つめ直せたのではないかと思っています。
人間はともすれば当初の気持ちを忘れ、いつの間にか易きに流れてしまう傾向があります。“初心忘るべからず”という言葉がありますが、最初の思いを忘れることなく機会ある毎に現在の自分を見つめ直していくことが大切であると思っています。
25 | 2002年10月27日(日) | 思い出いっぱいの修学旅行 |
今週の水曜日から守口北高校24期生(2学年)の3泊4日の沖縄修学旅行を実施しました。前半は生憎の悪天候でしたが、後半は天候も回復し『澄みきった青空』『紺碧の海』といった素晴らしい自然を堪能することができ、生徒達には思い出いっぱいの旅になりました。戦争を知らない子ども達が戦争の悲惨さと平和の大切さを実感した“糸数アブチラガマ” “ひめゆりの塔” “平和記念資料館”の見学。マンゴー、パインアップルといった南国の果物、紅芋、黒糖、海草等の食べ物。首里城に代表される琉球王国の歴史や文化。さらに、カヌー、バナナボート、ヨット、ダイビングといったマリンスポーツ等 実に数多くの体験をすることにより、沖縄を心ゆくまで満喫してくれたのではないかと思っています。
また、短い期間でしたが、生徒達が寝食を共にすることにより学校では経験することができない心のつながりが生まれてきたように感じました。一人ひとりが今回の楽しい思い出をいつまでも心にとどめると共に将来社会人として立派に活躍するためにもこの修学旅行を機に団体行動の大切さを認識し、一段と成長してくれることを期待しています。
一年生に対しては入学以来、朝の読書を行っていますが、半年以上経過し、生徒一人ひとりの取り組みの格差が広がってきました。そこで もう一度生徒達に読書の重要性を再認識してもらうために「産業社会と人間」という授業の中で “自分が変わる 世界が変わる 本と出会う”というテーマで『なにわ語り部の会』の小林晶子(せいこ)さんに本の素晴らしさについて話をしていただきました。続いて実際に“葉っぱのフレディ”を語っていただきました。この本はアメリカの著名な哲学者であるレオ・バスカーリア博士が書いた生涯でただ一冊の絵本です。自分の力で「考える」ことをはじめた子ども達と子どものこころを持った大人達に生きるとはどういうことなのか∞死とは何なのか≠問いかけてくれます。生徒達は大変静かに熱心に聞き入っていました。
昨今、テレビやパソコン等の普及に伴い、昔に比べると本を読む機会が少なくなってきていますが、読書を通じて自分の人生を考えたり、夢の実現のための創造性を育むきっかけになってくれることを期待しています。
27 | 2002年11月9日(土) | 守口市民祭りに参加して |
守口市では毎年11月に“市民まつり”が開かれており、今年は第十七回を迎えました。この祭りにはさまざまなイベントがありますが、その中でも特筆すべきは『中学生スピーチコンテスト』です。先日、このコンテストの審査委員として参加しましたが、実に市内の中学から各校2名、計20名の生徒が出場。学校や家庭で体験したこと、家族のこと、友達のこと、環境や平和のこと、自分の人生について思うこと、等を発表していただきました。一人5分間という短い時間でしたが、内容も充実しており、発表も中学生とは思えないほど堂々としており、いずれも甲乙つけがたい状況でした。コンテストの出場にあたっては、各中学で相当の指導をされているように思いますが、会場全体が感動と熱気に包まれ、盛会裏に終了しました。
これから国際化や個性の多様化の進展と共に異質なものとの出会いが増えてきます。その際に相手のことを理解し受け入れる力と共に自分の考えをしっかりと相手に伝える能力が必要になってきます。このスピーチコンテストがさらに充実し、子ども達の発表能力が高まることを期待しています。
先月に引き続き、第二回の『芦間高校オープンスクール』を開催しました。今回は前回の270名を大きく上回る440名の中学生・保護者の方が参加されました。一人ひとりの目が真珠の玉のようにキラキラ輝いています。冒頭の挨拶で“充実した人生を送りたい人は・・・”と質問したところ当然のことながら全員が手を上げてくれました。充実した人生を送るためには、まず自分なりの夢や目標を持ちその実現のために日々努力していくことが大切です。夢や希望は人から与えられるものではなく自ら見つけ出さなければなりません。今の日本の社会はあまりにも不安を駆り立てることが多いため子ども達が将来に対する夢や希望を持ちにくい状況になっています。
総合学科の使命は 学習活動を通じて自分自身の可能性を発見し、自分は何をやりたいのか∞何に向いているのか≠探してもらうよう指導していくことです。今日のオープンスクールに参加してくれた子ども達が、一日も早く「自分さがしの旅」に出発し、来春芦間高校の二期生として入学してくれることを期待しています。
29 | 2002年11月25日(月) | 遠いスタートライン |
バブル崩壊後、日本経済は本格的な立ち直りを迎えることなく低迷を続け、長引く不況の中で各企業は生き残りをかけてリストラクチャリングに取り組んでいます。とりわけ人員の削減は、失業者の増大という結果を招くと共に新規採用の大幅減という形になって子ども達の就職に大きな影響をもたらしてきています。本校(守口北高校)の就職希望者は約30人。今年は就職戦線の厳しさを予想し、いち早く会社訪問を行ない、子ども達に対しては5月より9回にわたる就職オリエンテーション、夏休みには3回以上の就職相談、更に個別の面接指導も繰り返し実施しました。最初は挨拶も十分できず、質問に対して的確な受け答えができなかった子ども達もこの半年間で顔つきや態度が見違えるように良くなり、随分逞しく成長したと思います。
この就職活動の取り組みは、関西テレビで『遠いスタートライン』という表題で放映される予定(11月30日、午後4時30分)ですが、求人数が4割も減ったため、今日現在、就職内定者は6割強、実に3人に1人が未定という厳しい状況です。この現実を謙虚に受け止め、今後基礎学力の充実、出席率の向上、クラブ活動への参加等、多くのことに注力していかなければならないと感じると共に、卒業までの残り3カ月間に多くの方のご支援をいただきながら全員の進路を確定してあげたいと思っています。
本校では“産業社会と人間”という授業を通じて、社会の動きをできるだけ生徒達に膚で感じてもらうよう各種の取り組みを行なっています。今週、この一環として二年生と一年生が『仕事探検隊』として校外の色々なところに出かけました。二年生は将来就職したい仕事をあらかじめ申告し、事務販売系、調理系、ホテル・旅行系、美容・理容系、スポーツ系、医療系等専門学校を中心に19ヵ所を訪問させていただきました。訪問にあたっては、事前に身だしなみ,言葉づかい、あいさつ、時間厳守等特に注意を払うよう厳しく指導していましたが、生徒達は学校内の生活では味わえない緊張感を持って参加したようです。
一年生は職場体験ということで、自分達で行きたい訪問先の選定、依頼、内諾までの交渉を行ないました。この過程で希望した訪問先に次々と断られる等折衝することの難しさを経験した生徒もおりました。このような努力の結果、学校、幼稚園、病院をはじめ警察、消防署、スーパー、デパート、美容院、写真館等何と80ヵ所におよぶ事業所に体験訪問を許可していただきました。受け入れていただきました事業所の方々には大変感謝しています。先生方にこれらの事業所を訪問していただきましたが、概して生徒達の目はイキイキと輝き真剣に取り組んでいたようです。このような体験を通じて生徒達が自分自身を見つめ、現実の社会とのふれあいを自覚し、自分なりの目標を持って大きく成長してくれることを期待しています。
初めての仕事探検は、子供たちにとって心に残る貴重な思い出になりました。ひとりひとりに自分が選んだ訪問先での体験を通じて感じたことを文章にしてもらい、御礼の手紙としてお届けさせて頂きました。そのいくつかを原文のまま紹介します。「1日だけでしたけど、私の夢に一歩近づけた気がします」「働くというのは大変。自分のやることは自分の責任になり、失敗をすると誰かを巻き込んでしまう」「なにもわからない私たちを仕事場に入れてくださった上、時間を割いて説明していただき・・・・」「こんなことまでしていただけるとは夢にも思わず、感激して涙が出そうになりました」「人に喜んでもらうことが自分のパワーになることを教えていただき、私もそんな風に人を幸せにする仕事ができるようになりたい」「続けていれば続けなかった人のたどりつけないところにたどりつける」等々。
普段親と先生以外とはあまり話すことのない子ども達が、社会人の方とお会いし、感謝の気持ち、仕事の厳しさ、働くことの意義、等、身をもって感じたことが読みとれます。今後ともこういった社会との繋がりを通じて、子ども達が成長してくれることを期待しています。
32 | 2002年12月14日(土) | 学校が変わる 生徒が変わる |
枚方市PTA協議会主催の講演会で中学生の保護者の方々に『人材育成から見た家庭教育〜学校が変わる 生徒が変わる〜』というテーマでお話しをしました。冒頭、日本の現状と将来について、どう感じておられるかを質問しました。いつも授業等を通じて子ども達に聞いているのと同じ問いです。この結果は予想していたとおり、今日本は世界の中で恵まれているが、日本の将来は暗い。しかし自分は充実した人生を送りたい≠ニいうものでした。
子どもは日常生活の中で大人の思っていることや行動、そして社会の世相を鋭く感じとっています。子どもに大きな影響を与えているのはとりわけ家庭の雰囲気です。親が将来を悲観的に考えながら“子どもに目標を持て”と言っても子どもが将来に対する夢や希望を持てるはずがありません。子どもは社会の鏡であり、家庭の鏡です。日本の将来を背負って立つ子ども達を育てるためには、まず我々大人が自分の生きざまを大いに反省し、毎日明るく元気に前向きに生きぬいていかなければならないということを強く訴えた講演でした。
激動の一年もあとわずかとなり、生徒達にとっては来週で二学期も終了することになります。ほぼ計画どおりにいっている者、反対に当初の目標から大きく乖離してしまっている者、楽しかった思い出を持つ者、苦しかった思い出を持つ者、さまざまですが、今大切なことは、この一年間取り組んできたことを素直に反省し、将来に向けて新たな目標を設定し力強く踏み出すことではないかと思います。このことは大人である私達にも当てはまります。
反省のないところに進歩はありません。小さな成功を大きな成功に、失敗についてもその苦い経験を生かして成功に結びつけていきたいものです。24日の終業式の後には、一年の反省を込めて全員で“餅つき大会”を実施し次なる成長に繋げていきたいと思っています。
この一年間、子ども達と接していて、まず「基本の生活習慣」が何よりも大切であるということを感じました。規則正しい生活のポイントは、十分な睡眠とバランスのとれた食事です。昔から“早寝早起、病(やまい)知らず”“早起きは三文の徳”ということわざがあります。“寝る子は育つ”と言われるとおり、よく眠ると背が伸びるというのも事実です。もうひとつの食については、今、米や大豆・魚・海草を中心とした日本食が注目を集めてきています。世界中のいたるところにおすし屋さんがありますし、イチロー選手のパワーの源泉は試合の前に食べる“にぎりめし”であるということで、マリナーズの中でおにぎりブームが起こっています。また、お正月のおせち料理には、永い間に培われた日本人の食事の知恵が生かされています。ごぼう・芋・人参・こんにゃく・大根などの煮しめや、新年を祝う心を表す昆布巻き・田作り・黒豆・数の子など、なかなか奥深いものがあるように感じます。
年が明けると、いよいよ学年の締めくくりである三学期がスタートします。子供たちがこの冬休みに規則正しい生活を送り、始業式には元気な姿を見せてくれることを期待しています。
(最後に)皆様にはこの一年間、暖かいご支援・ご指導をいただき、心より感謝しております。輝かしい新年をお迎えになられることをお祈り申し上げます。